[解説]終末もの、あるいはポスト終末について
先の『メトロエクソダス』の記事に、「ポスト終末」という言葉が登場しました。それについて、少し説明しましょう。
終末ものとは
「終末もの」とは、一般的にはSFのサブジャンルとされ、大きく次の二つに分かれます。
- Apocalyptic fiction(アポカリプティック・フィクション)
- Post-apocalyptic fiction(ポストアポカリプティック・フィクション)
ただ、終末ものというと、前者を指すことが多いと思われます。また、破滅もの、と呼ばれることもあります。
Post-apocalyptic は、日本語ではポスト終末(またはポストアポカリプス)と呼ばれます。
なお、the Apocalypse(略 Apoc.)は、黙示録を意味します。
概要
終末ものは、大規模な戦争・自然災害、爆発的に流行する疫病などによって、文明や人類が死にたえる様を描いています。また、その後を描くのが、ポスト終末です。
終末ものというフィクションでは戦争や災害の最中(直後)を舞台としています。戦争や災害で都市や社会が破壊されるなかで、生存者の苦闘や心理を描きます。
さらに大規模なものでは、地球の終末や宇宙の終焉をテーマとするものもあります。
第二次世界大戦後、戦勝国では核兵器の製造・保有が進みました。大量の殺戮を可能にする兵器を国家が有するという現実。社会的に核戦争に関心が持たれるようになり、終末ものは一気に注目を浴びました。
また、戦後の大量生産・大量消費社会における資源減少や環境破壊等の、生活に結びつく社会問題も創作のきっかけとなったと考えられます。
フィクションとはいえ、それらが創られた時代を覆う不安や恐怖、あるいは閉塞する社会の破滅への期待など様々な関心事が反映されています。
終末を描く
文明の終末を描いた小説は19世紀の初頭には存在してました。
当時、科学的知見が発達し、また産業革命による社会の大きな変化が起こりました。それらを背景に、破滅・災害を描くフィクションやポスト終末を描く作品が次々と登場しました。
とりわけ有名な作品が、1826年に出版された、メアリー・シェリー著『最後の人間(The Last Man)』です。 21世紀末を舞台にした長編小説で、謎の疫病により人口が激減する様が描かれています。
終末・破滅というテーマの起源
終末ものは数千年も前から存在してきました。世界各地の神話や宗教には、人間社会の終わりを描写(予言)したものが多く存在します。
広く一般に知られているであろう物語として、旧約聖書創世記のノアとノアの箱舟があります。この物語では、腐敗した文明が大洪水で破滅する様と、その後新しい文明が再建されるという希望を描いています。ただ、「大洪水」という神話自体は、古代の世界の多く見られます。
補足
メアリー・シェリーといえば、『フランケンシュタイン』(Frankenstein)を思い浮かべる方が多いかと思います。
原題は『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス』(Frankenstein: or The Modern Prometheus)です。
1818年3月11日、匿名で出版されました。
週明け、それは週末より終末的な……