[Electronic Arts]役員報酬に対する抗議
GamesIndustry の記事を翻訳いたしました(個人名・企業名は原文のままです)。
固有名詞のカタカナ表記は補足でご確認ください。
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投資グループは指摘します EA は幹部への慢性的な過払いを開発していると
CtW Investment Group がパブリッシャに対して株主キャンペーンを開始
常軌を逸した報酬は「完全な誤り」と強く主張
Haydn Taylor(Senior Staff Writer) Thursday 9th July 2020
Change to Win Investment Group(以下 CtW) は Electronic Arts(以下 EA)に対抗する株主キャンペーンを開始しました。この組織は、(EA が)役員報酬の面で行き過ぎていると考えていて、(以前に行われた)パブリッシャによる大量解雇にならうものです。
2006年に設立された CtW は、「無責任で非倫理的な企業行動と過剰な役員報酬」に対して責任を負うよう取締役に働きかけています。CtW は、加盟している組合年金グループが EA の株式の500,000株以上を保有していると推定していいます。
CtW のエグゼクティブディレクタである Dieter Waizenegger 氏は、EA の株主に書簡を送り、このパッブリッシャの「Say-on-Pay」提案に反対票を投じるよう依頼しました。
この書簡は特に、2018会計年度に「すでに中央値を超える報酬」に加えて「実質的な」株価報酬を受け取った Blake Jorgensen CFO と Kenneth Moss CTO に支払われた株価報酬に焦点を当てています。
Jorgensen 氏は、年間$ 650万の給与外報酬とともに、$ 1,000万の特別株価報酬を追加で受け取りました。
一方、Moss 氏は年間の$ 550万の給与外報酬に加えて$ 700万を追加で受け取りました。
「株主は長期にわたって同社の株価の上昇の恩恵を受けてきた。しかし、会社は無差別にその幹部たちに報酬を支払うことを許していないと我々は信じている」と書簡に記しています。
Waizenegger 氏は、このパブリッシャによる株価報酬へのアプローチは「成果主義」の精神を損なうものであり、現在のパフォーマンス期間が終了する前に一部の幹部が報われることを示唆しました。
彼はまた、2019年に EA の総労従業員のおよそ4%を解雇する中で幹部が中程度以上のボーナスを受け取ったことにも言及しました。
2020会計年度には、Jorgensen 氏と Moss 氏は、それぞれの年間付与額$ 750万と$ 550万に相当する特別株価報酬を授与されました。
「Electronic Arts は特別な報酬の慢性的な授与を開発しているようだ」
とWaizenegger 氏は書いています。
また、特別な株価報酬は「あったとしても控えめに授与されるべき」と付け加えました。
「別の特別報酬の支払い期間がまだ続いている間に、企業が(新たに)特別パフォーマンス賞を付与することは非常にまれです」
と、Waizenegger 氏は続けます。
「これら2人の幹部は現在、分割支払いの年次株価報酬に加えて、同時に2つの特別報酬を発行しています。株主は、会社の通例の役員報酬プログラムに加えて付与された大きな報酬にますます不満を表明しています」
どちらの場合も、EAは、「主要幹部」に奨励金を与えて維持することで、これらの支払いはパブリッシャの成長を維持するために「重要」として正当化しました。
「我々は繰り返し述べています。通常のコースプログラム以上の給与水準を設定してなお奨励金を与える必要があるという考えは、ほとんどすべてのケースで完全に誤りであると激しく主張し続けています」
と Waizenegger 氏は書いています。
この書簡は、CtW が米国の証券取引所へ訴状を提出した数週間後に届けられました。その訴状の内容とは、Activision Blizzard が、「従業員の解雇に直面しているにも関わらず、 CEO には数百万ドルの報酬を惜しまない」と非難するものでした。
GamesIndustry.biz は EA にコメントを求め、現在回答を待っています。
補足 カタカナ表記
原文 | カタカナ表記 | |
---|---|---|
Dieter Waizenegger | ディエター・ワイゼネガー |
補足 Say-on-Pay(セイオンペイ)
会社の株主が、経営者の報酬について投票する権利を持つという企業法における役割に用いられる用語です。
これに関して、様々な国の法律にありますが、合衆国では「ドッド=フランク・ウォール街改革・消費者保護法」により定められています(2010年7月21日施行)。
企業の経営者は、直接または間接的に、一般的な管理権限の問題として自分自身に(給与という形で)支払うことが許可されています。そのため、自分自身に「過剰に支払う」可能性があります。
それを、株主により規制できるようにしてあるのが「Say-on-Pay」です。
わかりやすい例えとして、「お小遣いの額を決定する者」と「それを受け取る者」が同一である場合どうなるかということです。
ここで問題になるのが、お小遣いの財源です。つまり財源の確保が、受け取る者自身のみの働きによるわけではないという事実です。3つの要素が完全に同じであるならば、規制は必要としないでしょう。おそらく。
補足 Blake Jorgensen(ブレイク・ヨルゲンセン)
2012年9月初旬より EA のエグゼクティブ副社長 / 最高財務責任者に就任(2012年7月に公表)。同社のグローバルな金融業務を担当するとされていました。
それ以前の経歴として、Yahoo!の最高財務責任者を務めていたこともあります。
1988年、ハーバードビジネススクールで MBA を取得しています。
なお、任命の発表がなされた際に EA の John Riccitiello CEO は、こう述べました。
「彼のオンラインコマースとエンターテインメントに対する深い理解と財務経験は、EA がゲームコンテンツとサービスのデジタル配信へと変革するための助けとなるでしょう。
彼の経験とリーダーシップのプロファイルを超えて、Blake 氏は EA とゲーム業界にとって素晴らしい文化的適合性があると思います」
笑わないように!
補足 Kenneth Moss
2014年、CTO に就任。
それ以前は、Microsoft に20年勤務。検索サービス(後の Bing)のエンジニアリングチームと製品チームを設立して主導し、同社の大規模サービスへの移行において重要な(技術的)役割を果たしました。
オークションサイト eBay での勤務経験もあり。
10代の頃は、御多分に洩れずゲーマだったようです。
Twitter のアカウント(Ken Moss)はありますが、長らく更新されていません。
蛇足 後記
ゲーム会社で一番「偉い」のは開発現場です。
コードを書いたり、グラフィックを作成したり、音を作ったり。あるいは、それらの連携と統合を図ったり。
他の産業ではどうでしょう。
ビールでは醸造所で働く人が偉いのです。自動車産業では、工場で働く人が偉いのです。
それは、原料を生産(加工)する人にも及びます。流通と小売にも同じことが言えます。
つまりは「現場」ですが。
経営する人でも、宣伝(CM)する人でもありません。
管理人はアルコールをたしなみませんし、運転免許も持っていませんが、はっきり言えます。
労働と賃金の問題は、「経済」と言ってしまえば、それで片付くのかもしれませんが。
かつて、EA が発売した『ミラーズエッジ カタリスト』ではこんな設定です。
巨大ゴングロマリット「クルーガー」が支配的な都市ガラスの街で、エンプロイ(労働者)が監視・搾取されている。
主人公であるフェイスは「フリー」のランナー(運び屋)です。
これはひょっとしたら、北朝鮮のような国家から連想された創作かもしれませんが、皮肉なものです。
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例によって例のごとく、補足が長くなってしまい申し訳ありません。
かつての、どこぞの大手自動車メーカのようなw
自由奔放過ぎて笑うしかないw
以前にも書いたかもしれませんが、経済とは、金銭とは、地位とは、麻薬です。
他に喩えようがありません。
皆様のマイクロトランザクションにより. . .