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[ビジネス]アジアの開発会社からのゲームに期待(Gamescom Asia での Shawn Layden 氏の談話)

 

GamesIndustry の記事を翻訳いたしました(個人名は原文のままです)。
 訳文の一番下にあるボタンからソースのページに移動できます。


 

AA の消滅は、今後のエコシステムにとって脅威
「大ヒット作」頼みの業界に警鐘を鳴らす


Marie Dealessandri(Deputy Editor) Oct. 17, 2024



Image: Marie Dealessandri

 

 Gamescom Asia が今朝シンガポールで業界関係者に公開され、Sony Interactive Entertainment Worldwide Studios 元社長 Shawn Layden 氏との談話で一日がスタートしました。

 

 Raw Fury の共同設立者兼最高出版責任者である Gordon Van Dyke 氏との会話の中で、元社長は AA スタジオの消滅について、そしてそれが業界の将来にとってなぜ悪いことなのかについて自身の考えを語っています。

 

「(過去には)ゲームを見るのに多くの時間を費やしましたが、『収益化の仕組みは何か』、『継続的な収益計画は何か』、『サブスクリプション方式は何か』などとは質問しませんでした。
 私たちが尋ねたのは、単純な質問でした。楽しいですか?楽しい時間を過ごせますか?
 これらの質問にイエスと答えられるのであれば、たいていゴーサインが出ました。良くも悪くも、最終的な部分についてはあまり心配していませんでした。もちろん、当時は何百万ドルもかけてゲームを作ることはありませんでしたが。つまり、リスク許容度はかなり高かったのです」

 

「現在、AAA ゲームを制作するための初期費用は数百万ドル単位になっています。当然、リスク許容度は低下していると思います。そして、続編や模倣作品に注目することになります。なぜなら、線引きをする財務担当者が『Fortnite がこれだけの期間でこれだけの収益を上げたのなら、私たちのその模倣作品もこれだけの時間でこれだけの収益を上げることができる』と言うからです。
 スタジオの統合と制作費の高騰により、今日のゲームでは創造性が崩壊しつつあります」

 

 Rayden 氏は以前、より短いゲームに戻りたい、業界全体で高騰するコストを再考する必要がある、と声高に主張していました。Van Dyke 氏は、PlayStation の元幹部に、創造性を第一に考え、収益化を二の次に考える場合、インディーズに慰めを見出せるのか、インディーズを「希望の光」とみなせるのか、と尋ねました。

 

「その通りだと思います」
 と、Rayden 氏は答えました。
「映画業界でも同じ現象が見られましたよね? すべてが超大作、Marvel Cinematic Universe、サンダンス賞候補作という状況に陥っています。そしてその中心、つまり中間作品、かつては Tom Hanks と Meryl Streep が出演したバーモント州にて . . . そういう映画を作ることはできます。人々はそれを観るために劇場に足を運びました。
 しかし、それらの作品やその種のコンテンツは行き場を見つけました。Netflix、Amazon、Apple Plus、あらゆるストリーミングサービスに行き、落ち着く先ができたのです」

 

「ゲーム業界には、Call of Duty、Grand Theft Auto、インディーズ作品があります。しかし、かつて Interplay、Gremlin、Ocean、THQ などの企業が利益を上げていた中間地帯、中間層はなくなりました。AAA になれば生き残れますし、インディーズの分野で何か面白いことをすれば生き残れるかもしれません。
 しかし、AA はなくなりました。それはエコシステムに対する脅威だと思います。だから私はインディーズ作品に注目しています。最新の Unreal Engine や Unity が提供するものなどのテクノロジィの出現により、10年前と比べてビデオゲームの標準品質はかなり向上したと言えると思います」

 

 彼は、現代のツールによってゲームに一定の基本レベルの品質が与えられており、これは悪いゲームが単に壊れていた10年前とは異なり、全体としてはプラスであると強調しました。

 

「低予算だけど、超クリエイティブで超珍しいタイプのゲームに、もう少し関心や興奮や露出が集まれば . . . もっとそういうゲームが見たいですね。超大作に頼るだけなら、それは死刑宣告と同じだと思いますから」

 

 今も存在する数少ない AA スタジオにどのような戦略を採用すべきか、また AAA のグラフィック忠実度とインディーズのリスクの高い革新的アプローチの間でどこにニッチを見つけるべきかについて尋ねられたとき、Rayden 氏は、AA には自然なニッチがあり、それは例えば「1ドルショップ版の God of War」ではなく「新しいもの」をもたらすことだ、と述べました。

 

「自分自身に挑戦できる何かを持ってきてください。ゲームメディアというメディアは非常に柔軟性があり、さまざまなことができます」
 と、彼は続けました。
「ですから、AA におけるあなたの強みは、市場投入までの時間を短縮することだと思います。次の GTA を開発するために1,500人の開発者を集めることは、AA にとって必要なことではありません。開発会社であれば、『2年から3年半で何かを立ち上げて実行できます』と言える必要があります」

 

 特異な発想や、自分が知っていることに対する違った解釈を求めるべきだが、最も重要なのは、収益化を優先しないことだ、と同氏は付け加えました。

 

「もしあなたが私に AA ゲームを売り込むつもりで、そのプレゼンテーションの最初の2ページに収益化と収入、サブスクリプションスキームが書かれていたら、私は断ります。最初のページは『このゲームは作る必要があり、その理由はこうです』でなければなりません」

 

「私はその情熱を見たいのです。『ここにチームの主任会計士がいて、ゲームの収益化について説明してくれます』という姿は見たくないのです」

 

 確かなのは、AI が現在の業界の課題を解決する魔法の公式ではないということだと Rayden 氏は述べ、AI がゲームに革命を起こすと考える人々は通常、業界関係者ではないと指摘しました。

 

「人工知能は、ゲームが初めて作られたときから、あるいは2番目に作られたときから、ゲームに存在しています」
 と、彼は聴衆に思い出させました。
「ですから、この世代の AI に対する興奮は、ある意味滑稽だと思います。確かに、特定の場所で特定の用途に AI が応用されていると思います。しかし、それは単なるツールであり、救世主ではありません。Excel がツールであるのと同じ方法で、タスクをスピードアップするのに役立つだけです」

 

 彼は、例えばシミュレーションモデルを実行する QA における実用的なアプリケーションについて言及しました。これは、Sony が最近の CEDEC での講演で、機械学習を使用して『Astro’s Playroom』のテストを改善する方法を実際に実演したのと同じです。

 

「アイディア創出に役立つと思います」
 と、同氏は付け加えました。
「AIを使えば、本当に優れたプレゼン資料を素早く作成できます」

 

 

 最後に、彼は、アジアがゲーム業界にもたらすチャンスについても触れました。

 

「私はアジア、南アジア、この地域を、次の大きなチャンスが生まれる場所と見ています。そして、ここのゲーム開発の才能のレベルは、世界の他の地域よりも急速に成長しています」
 と、彼は語っています。

 

「アジアには、才能ある小規模で気骨のあるスタジオがたくさんあるので、彼らが脚光を浴びればいいだけだと思います。適切な IP やプラットフォームを見つけるには、ちょっとした運が必要です。また、あの国、あの文化でもっとゲームが作られてほしいですね。
 『カリフォルニアでゲームが売れなければ、成功していない』という感じです。カリフォルニアはあなたの市場ではありません。ここの市場を見てください。成長していて、経済は堅調です。可処分所得はもっとあります。インドネシアでその市場向けに素晴らしいゲームを作ることができます」

 

「そして、それが世界のゲームシステム全体にとって非常に重要だと思います。なぜなら、私が引退してからの5年間ずっと話してきたことの1つは、非常に単純なことです。ゲームをプレイする人がもっと必要だということです。
 ゲームは $2,500億 規模の世界的ビジネスですが、実際のプレイヤ数は同じペースで増加していません。そのため、同じ人々からより多くのお金を得ています。ゲームをプレイする人をもっと増やす必要があります。そのためにはどうすればいいでしょうか。ゲームを作る人をもっと増やす必要があります」

 

「世界中でもっと多くの人がゲームを作るビジネスや技術に携わらなければなりません。隣人のためにゲームを作りましょう。友人のためにゲームを作りましょう。自分のためにゲームを作りましょう。
 しかし、西洋の市場があなたの活動のすべてだと思わないでください。ここでゲームを作り、成功してください」

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ついでに、「管理人からひとこと」を読んでみる


 

管理人からひとこと

かつて、日本のゲーム業界で起こったことが、今度は東南アジアなど、
これまであまり注目されてこなかった地域(市場)で起ころうとしているでしょうか?
今後数年をかけて、興味深いことです。


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