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[ビジネス]Embracer Group 再編に関して CEO へのインタビュー

 

GamesIndustry の記事を翻訳いたしました(個人名は原文のままです)。
 訳文の一番下にあるボタンからソースのページに移動できます。


 

再編に伴う人的損失は「重大」だが「必要」
Phil Roger 氏が900人以上のスタッフ解雇後の
グループの目標と進捗について語る


James Batchelor(Editor-in-chief) Nov. 23, 2023



 

 ゲーム業界の従業員にとって今年は厳しい年だったと言うのは、控えめな表現ではないでしょう。パンデミック発生時の急速な成長に伴う企業のリストラや規模縮小により、何千人もの雇用が失われました。

 

 おそらくこれは、Embracer Group の現在進行中の再編によって最も顕著に実証されていますが、その拡大は過去数年間に限定されませんでした。
 2017年以来、同社は Zen Studios のような小規模な開発会社から、Gearbox や Crystal Dynamics のような AAA スタジオ、テーブルトップ筆頭の Asmodee、漫画出版社の Dark Horse Media、さらには Lord of the Rings の著作の保有者である Middle-Earth Enterprise ような非ゲーム会社に至るまで、約90の企業を買収してきました。

 

 業界は Embracer 社を特に注視しており、同社の M&A 買収による脆さを孕んだ「巨塔」が最終的に瓦解するかどうかを待っていました。そして今年初め、未知のパートナの土壇場での撤退により同社が少なくとも $20億 相当とみられる取引が破綻したことを発表した後、その瞬間が到来したかに見えました。

 

 企業再編プログラムは、純負債 $15億 を削減する計画とともに6月に開始され、先週同社は、決算とともに初めて重要な進捗状況を発表しました。この負債は $14億 に減り、同グループは2024年3月の会計年度末までに $7億5,700万 まで削減する予定であると述べました。

 

 再編は主に PC / コンソール事業分野で行われており、Embracer の財務報告書では、モバイル、テーブルトップ、エンタテインメント部門の安定性と予測可能性が業績を押し上げたと述べています。しかし、Board Game Wire は、前述の企業 Asmodee でもリストラ過程が始まったと報じています。

 

 Embracer 社の債務削減に伴う人的喪失は莫大なものとなっています。7月1日から9月30日までの間に904人が解雇され、その後10月から11月にかけてさらに3つのスタジオで人員削減が行われたためさらに雇用が失われました。さらにまだまだ続きます。

 

 この結果を受けて、私たちは Embracer の暫定最高戦略責任者であり、運営グループ(Crystal Dynamics やスクウェア・エニックスが以前所有していた他の欧米のスタジオを含む)の CEO である Embracer の Phil Rogers 氏に話を聞きました。Rogers 氏は、昨年の買収までそこで働いていました。

 

 彼は全体的な再編の状況を指摘し、企業は「順調に進んでいる」という財務報告書の見方を繰り返しました。

 

「この種の報告日は、声を大にして、私たちがこれに抗っているとどのように感じているかを述べるのに良い機会だと思います。晴れやかな気持ちです」
 と、彼は GamesIndustry.biz に語っています。
「私たちは、設定した目標に対して順調に進んでいると感じています。したがって、それについて非常に前向きに感じています」

 

「私たちは、営業経費の削減と基本的にゲーム計画である設備投資の目標を含め、負債を削減する方法についての目標と一致しています。そして明らかに、来年度にはその計画を、私たちが話している実行比率が50億スウェーデンクローナ($4億7,840万)になるまで再調整するつもりです。これらの調整は、私たちにとって非常に明確でよく理解された目標です。
 したがって、私たちはそこに向かって良い進展を遂げていると思います」

 

 同氏は続けて、組織再編は企業にとって内省的なものであり、事業の目標や野心、そして本人の言葉を借りれば「いかにして勝つか」を大いに考慮する必要があると述べました。

 

「私たちは効率と現金生成をどのように改善するかについて話します。より無駄がなく、より強力で、より集中力があり、うまく収益が巡る企業にどのように変革できるでしょうか?
 そして、これらは事業全体にとって非常に良い課題であったと思います。ビジネス全体でたくさんの良い会話が交わされています」

 

 そうは言っても、Rogers 氏は、この過程には人的痛み伴うことを認識しています。
「現在、業界再編の最中に多くのことが飛び交っていますが、明らかに負の側面は人々への影響です。これは弊社が本当に感じていることです」

 

 同氏は続けて、こう語りました。
「多大なる人員削減を見るのは苦痛な過程でした。しかし、新たな必要な目標を達成するためにはそれが必要なことだと分かっています。全体的には順調に進んでおり、我々は前進しています」

 

 Rogers 氏は、「大きな計画」である世界的な発売計画を全面的に見直すという Embracer の以前の発表に同調しました。これは過小評価ではありません。つい最近、2023年6月に、Embracer は自社のさまざまなスタジオで200以上のゲームを開発中であると発表しました。

 

「Embracer は業界で最も幅広く、最も深いゲーム発売計画の1つを手にしていると思います」
 と、Rogers 氏は言います。
再検討ではさまざまな事業単位全体から専門家や意見を集めて、実際に1つのプロジェクトに協力し、企画・計画を調べて、すべてをどのように評価し、それについてどう考えているかを検討するのは非常に興味深いものでした」

 

「多くの人がお互いに紹介され、グループのさまざまな部門で実際にネットワークなどを構築して多くのコミュニケーションを築いてきた人たちを紹介することができました。ですから、その全体的なプログラムにおいてたくさんの収穫があったと思います」

 

 このような見直しが行われるのは異例のことです。
 2023年は、ゼルダ、Hogwarts Legacy、Diablo、Spider-Man などの大規模ゲームの商業的成功がこれまで以上に向上しました。また、より多くのプレイヤがライブサービスに多くの時間を費やしている昨今です。Embracer のスタジオの大部分が運営されている AAA 界の外でヒット作を生み出すことは、これまで以上に困難になっているようです。ここ数年で最大の発売である『Saints Row』の2022年の復活でさえ、期待に応えることができませんでした。

 

Saints Row の復活は、ここ数年で Embracer 社からの最大の発売となったが、依然として売上の期待には届かなかった

 

 このような状況において、企業は200以上の開発中のゲームのうちどれを継続する価値があるかをどのように判断するのでしょうか?

 

「何よりもまず、私たちはエンタテインメントの価値を重視します」
 と、Rogers 氏は言います。
「プレイするのは楽しくなければなりません。私は『少ないほど大きく、より良い』アプローチの大ファンではありません。また、大規模なゲームが常に楽しいとは限りません。小規模なゲームを作成し、それらを提供することがどれほど難しいかは知っています。
 ララ・クロフトのデジタルスピンアウトに取り組み始めたとき、かつて勤務していた Crystal での経験からエンタテインメントの価値が生まれました。人気のヒロインとオシリスの神殿にとって、それははるかに少ない予算でゲームを作ろうとするAAAチームでした。非常に多くのチームがは現在、はるかに少ない予算でゲームを制作しています」

 

「次に、商業的な成果をどのように評価するか、どのように目を細めてその利益を確認するかを検討します。ジャンルにも可能性があり、潜在的なジャンルなどで重複する可能性があります。 それは私たちがいくつかの決定を下すのに役立つでしょう。
 また、チームに意思決定を説明するのにも役立ちます。私が発見したこの過程を経ることの穏やかではあるが非常に明確な利点の1つは、チームが実際に協力して共有し、議論できるようになることであり、そのことが、然るべき時に決定を下すのに役立っているということです」

 

 Embracer はまた、過去5ヵ月の大部分を、ビジネスをここまで導いた非効率性の再評価に費やしました。外部から見ると、6年間で90件近い買収という積極的な M&A 戦略が主な要因であると示唆するのは非常に簡単であり、特にこの規模のグループを維持するために所有するスタジオからの大ヒットがなければ。

 

 Rogers 氏にとって、その戦略は Embracer を業界のリーダとして位置づけるという野望に基づいて構築されたものであり、同社はその地位を維持したいと考えています。

 

「業界内での地位を確立する . . . Embracer は比較的新しいプレイヤですが、他の側面では、私たちはしばらく前から存在しています」
 と、彼は言います。
「しかし、業界の主導企業の間でのその出現は非常に急速に進んでいます」

 

 Rogers 氏はこの問題に興味深い視点をもたらします。
 昨年 Embracer に入社したばかりの彼は、その非常に急速な成長を外部の視点から見ており、現在は内部で次の章を見据えています。同社をここまで導いた理由を尋ねると、彼はそれをより広範なゲームビジネスとその急速な成長に関連付けました。

 

「私たちは非常に自信を持っている業界であり、限界を押し広げている業界です」
 と、彼は説明します。
「私は物理ミドルウェアがゲームプレイに革命をもたらすだろうと信じて1999年に入社しましたが、今ではそれがゲームのデザインと楽しみ方の一部にすぎないと気付きました。
 この業界は常に課題に挑戦し、直面し、常に機会を探し、エンタテイメントを行っています。世界中で何十億人もの人々が利用しており、その数は増え続けています . . . Embracer の中でそのすべてを認識していると思います」

 

 同氏はさらに、続けます。
しかし、その自信の一部は、時には変化し、適応しなければならないことを意味します。ご存知のとおり、マクロの力とミクロの力です。これが業界が今置かれている状況だと思います。
 私たちはこれまで取り組んできましたが、それは変化、進化、成長を追求する中で、今私たちはその異なる環境の中にいます。そして、それは Embracer と完全に一致していると思います。非常に自信があり、実行できる組織ですが、今は私たちは、どうすればより効率的に働くことができるかという現実に直面しなければなりません」

 

 私たちはグループの目標は何なのか、Embracer にとって「勝利」とはどのようなものなのか、という話題に話を戻します。それに対して巨大組織のトップはこう答えます。
「これらすべての質問については、後でもう一度取り上げて詳しく説明します。 私たちは現在、再編に非常に集中しているため、これらの質問に今日答える立場にあるとは思えません。私たちは再構築に非常に注力しています。今は私たちにとって非常に刺激的な時期だと思います。
 個人的には、困難な時期にこそ、人は自分自身についてもっと学ぶことができると思います。満足することなく、本当に深く考えなければならないときです。そして私は今日、この集中プログラムに今から人々を結集させようと努めており、2024年に向けてそのメタビジョンを打ち出すだろうと言いました」

 

Embracer は、Tmb Raider や The Lord of the Rings など、多くの貴重な IP を所有している。

 

 Embaracer が財務報告書で述べたように、再編はまだ「初期段階」にあり、さらなる解雇やスタジオ閉鎖が予想されることを意味します。それがどれほどの規模であるかはまだ不明です。

 

「それは常に難しい質問です」
 と Rogers 氏は言います。
「私たちは四半期について報告し、情報を精査するグループが変更を加えていることに留意しています。ニュースになるものもあれば、そうでないものもあります。それについてはコメントしませんが、四半期ごとの測定日に合わせて報告しますので、次回は2月になります」

 

「私たちの優先事項は . . . 協力することに非常に重点を置き、プロジェクトレベルで目標に目を向け続けることです。私たちは、更なるリストラと開発中止、さらに閉鎖や経営陣による買収が起こる可能性があると発表しました。それは社内で均衡を取らなくてはなりません . . . 。
 なぜなら、私たちが言っているように、人件費はかなりのものであり、それは私たちにとって重要であり、常に敬意と誠実さを持ってそれに対処しなければならないからです」

 

 Rogers 氏は、Embracer は将来を見据えることに非常に重点を置いており、運営方法を調整しているものの、同社の長期ビジョンはまだ変わっていない、と繰り返して締めくくりました。

 

「当社には、徐々に強化される有名な PC / コンソールでのフランチャイズを含む、予測可能で収益性が高く、現金を生み出すビジネスという強固な基盤があります」
 と、彼は言います。
「コンテンツに対する需要はかつてないほど高まっており、弊社はその需要を活用するのに有利な立場にあります。企業内には素晴らしい人材と多くの世界クラスの知財があり、この組み合わせによる収益力の成長を長期にわたって実証することを目指しています」

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ついでに、「管理人からひとこと」を読んでみる


 

管理人からひとこと

今後の四半期決算、会計年度決算にも注目です。


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