[ビジネス]サブスクリプションサービスは、インディーズパブリッシャに悪い影響を与えています
GamesIndustry の記事を翻訳いたしました(個人名は原文のままです)。
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サブスクリプション契約の低迷が、
インディーズパブリッシャに打撃を与えていると、アナリストが語る
Devolver と TinyBuild の困難な年は、
Sony と Microsoft からの小規模な取引に部分的に起因
Christopher Dring(Head of Games B2B) Aug. 29, 2023
証券会社 Goodbody によると、サブスクリプション取引の小規模化と特定のタイトルの収益不振が、Devolver と TinyBuild に深刻な影響を与えていると言います。
両社は2021年にゲーム事業のピークに浮上しましたが、過去2年間で株価は急落しています。Devolver の株価は2022年1月のピーク以来 92% 下落し、TinyBuild の株価は 95% 下落しました。
「Devolver と TinyBuild から、サブスクリプションが現在、窮迫にさらされていることがわかりました」
と、Goodbody のテクノロジィおよびビデオゲーム・アナリストの Patrick O’Donnell 氏は言います。
「Sony と Microsoft から来る小切手は、以前ほど大きくありません。そして、市場のそっち側に集中していると、それが問題を引き起こします。
その中で、TinyBuild が最も悪い影響に晒されました。Devolver もそうでしたが、深刻というほどではありませんでした」
最近の Devolver の株価下落は、多くの大型タイトルを来年度に延期するという同社の決定を受けてのものです。同社は昨年夏に『Cult of the Lamb』でヒットタイトルを配信したため、前年比での業績も低迷しています。
「今会計年度の Devolver への予想は $1億1,500万 から $1億2,000万 でしたが、実際には $9,000万 に下方修正されました。その大部分は、大型発売が2024年に延期されたことです。これらは正当な理由による決定だと思いますが、投資家は短期的にはそれを好まないでしょう」
「また、発売済みタイトルは回復力があるものの、価格は 5% 下落しており、それが EBITA に悪影響を及ぼしています。そして、それを相殺するのに必要な大規模なゲームはもう手の内にありません」
しかし、結局のところ、O’Donnell 氏は、Devolver は状況を好転させるために必要なすべてを備えたビジネスであると感じています。
「Devolver の実力に注目する必要があります。彼らの製品の実績と品質は、ほぼ常に良好です。彼らはヒットを原動力とするポテンシャルを持っており、それを何度も示してきました。それが今後、機関投資家を Devolver に留めておくの重要な要素の1つになるでしょう。
最終的には、彼らは知的財産を保護しています。彼らは、いくつかの大きなサブスクリプション取引を断ったと確かに述べました」
「そして2024年、Devolver は次の Human: Fall Flat を発売します。Curve から発売された初版の数字は圧倒的です」
しかし、O’Donnell 氏は、TinyBuild についたは懸念しています。これは、『Hello Neighbor 2』の期待外れのパフォーマンスのためです。
「最初のゲームは妥当なシリーズの始まりのように見えたので、2022年12月の2番目のゲームに注目が集まっていました。Steam データによると、このゲームはまったくうまくいきませんでした」
「しかし、また、彼らの格下げは非常に深刻でした。調整後 EBITA の 80% の格下げでした。彼らは新しい CFO を迎えましたが、その人物は投資家向け広報部門出身で CFO の経験がありませんでした。今にして思えば、機関投資家は経験豊富な CFO の登場を望んでいたでしょう」
「現在、TinyBuild は、より高価な定価のゲームに移行することについて話しています。しかし、これは、困難なサードパーティのパブリッシング分野でどのようにそれを実行するかという点で懸念です」
なお、明るいニュースとしては、TinyBuild の『Punch Club 2』が同社にとって大きな成功を収めたことです。ただし、両パブリッシャの株価下落は、買収の可能性があることを意味します。
「TinyBuild と Devolver は両方とも非常に安い倍率で推移しており、ここには潜在的な買収シナリオがあります」
と、O’Donnell 氏は続けます。
「彼らのビジネスには多くの戦略的投資家がいます。両社とも Netease を投資家として迎えており、Sony は Devolver の投資家です。これらの投資家はこれらの事業を買収して市場から排除することを検討する可能性があります。多くの機関投資家がすでに撤退しているため、TinyBuild に関しては市場の一部はそれを想定しています」
O’Donnell 氏は、Devolver と TinyBuild は上場以来苦戦を強いられてきたが、別の英国の IPO(新規株式公募)、Team17 には同じことが当てはまらないことを熱心に強調しています。そしてその一部は、Team17 が期待値を設定する上でより効果的であるためです。
TinyBuild と Devolver は2021年の浮上であり、結果として非常に高い期待を集めていました。そして、それらの期待をリセットする試みではさまざまな成功を収めてきました。
「Team17 の賢明な戦略は、彼らが常に自分たちの期待に対して保守的であることです」
と、O’Donnell 氏は説明します。
「Debbie(Bestwick CEO)は、常に市場に対して保守的でした」
「現在、Team17 と残りのパックの間には大きな違いがあります。今年の最初の7ヵ月間で、Steam における販売数は昨年より 55% 増加しました。
「Dredge と同様に、Marauders は Steam 上で大きな成果をあげました。今年と昨年の Team17 を見てみると、昨年はそのようなタイトルを欠きました。そして、Hell Let Loose の継続的な強さ . . . いくつかの問題がありました。
全体的な品質の点では最新の DLC を備えていますが、引き続き好調な売上とエンゲージメントが見られます」
「彼らは Astragon を買収し、非常にうまく行きました。彼らは好調なシミュレーションゲームをいくつか持っています。そして Story Tosys もあります。これは6月の売上高で昨年と比べて 20% 上回りました」
「よって、Team17 と残りのチームを見ると、残りのチームはゲーム計画とそれがどのように機能する必要があるかに焦点を当てています。一方、Team17 には非常に強力で回復力のある発売済みタイトルがあり、より幅広い視聴者がプレイすることもあります」
Team17 は CEO の交代を進めており、Bestwick 氏が年末に退任し、後任には Steve Bell 氏が就任する予定です。そのため不確実性が生じており、Team17 には近々発売の『Blashphamous 2』など、いくつかの有望なプロジェクトが予定されていますが、同社は依然として横ばいの年になると予測しています。
それでも O’Donnel 氏は同社に自信を持っています。
「Team17 の賢明な戦略は、彼らが常に自分たちの期待に対して保守的であることです。彼らは平坦な年を想定していますが、下半期を見ると . . . それよりもはるかに進んでいます」
「Debbie 氏は、経営面で有利な立場にあるビジネスを離れることになると思います。Team17 は、高い現金を生み出すビジネスです。そして、より多くの取引を行う余地があり、Steve 氏はそれを行った経験があります。
しかし明らかに、CEO が変わるたびに、市場が Steve 氏を初めて見るまでは、何らかの懸念が生じるでしょう。特に Debbie 氏のような人物のが前任者だった場合は」
補足 EBITA
財務分析に必要な概念。税引前利益に、特別損益、支払利息、および減価償却費を加算した値のこと。損益計算書上に表示される会計上の利益ではありません。
EBITDA は、(earnings before interest, tax, depreciation, and amortization)の頭文字です。
持続可能なゲームビジネスを願います。