[トピック]ゲームと女性主人公(Feminist Frequency によるレポート)
GamesIndustry の記事を翻訳いたしました(個人名・企業名は原文のままです)。
固有名詞のカタカナ表記は補足でご確認ください。
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この夏のビデオゲームは、記録的な数の女性主人公を明らかにしました
しかし、Feminist Frequency の年次分析は、
これが「一回限りの統計的異常」である可能性があるとも警告しています
James Batchelor(UK Editor) Friday 16th October 2020
この夏に発表されたビデオゲームは、過去5年間のどの E3 のラインナップよりも多くの女性ヒーローを取り上げていました。
これは、女性と男性の表現のバランスを測定するために、2014年から E3 でのゲームの発表の性別の内訳をまとめている Feminist Frequency による新しい分析によるものです。
今年は、E3 がキャンセルされました。それを考慮して、チームは、その見本市に取って代わったこの夏のすべてのプレゼンテーション(オンラインゲームイベント)を調査対象としたレポートを作成しました。また、それらを(便宜上)「ワイルドカードの年」と読んでいます。
Anita Sarkeessian と Carolyn Petit の両氏によって書かれ、Wired によって公表された今年のレポートは、表示された新しいゲームの18%が定義された女性キャラクタを主役として取り上げたことを示しています。
これは、昨年記録された5%と2014年に示された9%という数字を大幅に改善したことを示しています。これまで、この年次分析では過去最高を記録しています。
これらの対象のゲームの3分の1以上は、6月のソニーの PlayStation 5 のプレゼンテーション(THE FUTURE OF GAMING)からのものでした。
Feminist Frequency は、
「この結果における『希望』は、PS5 の潜在的な購入者のかなりの割合が女性であることをソニーが認識していることを意味します」
と述べ、視聴者から支持を得るためにこれらのゲームを意識的に選択した、としています。
「新しいコンソール世代は大きな変化をもたらす可能性があり、ゲーム業界におけるソニーの影響力は甚大です。
PlayStation 4 は、競合する Microsoft の Xbox One の2倍以上の台数を販売してきました。したがって、これがより大きなコンソールメーカ側の戦略では、今後数年間の影響は確かに非常に重要になる可能性があります」
と報告書は続けています。
「私たちの希望は、ソニーと Microsoft の両社が、文化的領域としてのゲームは主に男の子と男性のためのものであるという誤った、しかし永続的な概念を解体するために、次の次世代コンソールでより慎重な努力をすることです」
男性の主人公が今年のゲームプレゼンテーションの23%を占めており、これは男性主導のタイトルと女性主導のタイトルの差が最も狭まった年でもありますが、Feminist Frequency はこれが持続的な進歩を示すかどうかについては慎重です。
「これまで、男性を中心としたゲームは女性を中心としたゲームの少なくとも3倍でした。したがって、今年は両方の価値観が少なくともほぼ対等な状況にあるという事実は間違いなく歓迎すべき展開です」
とレポートは述べています。
「しかし、おそらくこれらの数字については慎重に楽観的であるべきで、諸手を挙げて喜ぶわけはもゆきません。この遷移が実際に起こっている変化を反映しているかどうかを判断し始めるには、当然、さらに1、2年かかるでしょう。 または、2020年が1回限りの統計的異常であり、すぐに現状に戻る可能性も否定はできません」
いつものように、ゲームの最大の割合(今年は54%)により、プレイヤは(主人公として)男性と女性のキャラクタを選択するか、1人の人物ではなくグループを中心に選択することができました。
Feminist Frequency はこれらを歓迎しました。
ただチームは、これは、『The Last of Us Part II』のエリーなどのキャラクタと識別して関連させるために、プレイヤを定義された女性の役割に置くゲームと同じではないことを繰り返しました。
「何十年にもわたって男性のヒーローが主役だった業界ですが、私たちが望んでいるのは、プレイヤが人間化された女性キャラクタの役割を担うことを見ることです。少なくとも(男性ヒーローのゲームと)同数の(女性主人公)ゲームが存在するという状態へ移り変わることです」
レポートは、「ゲームに女性のヒーローを増やすことは重要ですが、それは業界から出力されるもの全体の表現を改善するための1つの側面にすぎない」と付け加えました。
たとえば、性別があいまいで非バイナリィの主人公は、今年のゲームの3%しか占めていませんでした。昨年は2%でした。これまでのところ最高は5%です。
「人種、セクシュアリティ、性同一性に関するより良い表現も重要であり、これらの分野でも多くの作業が行われる必要があります」
とチームは書いています。
「今年のゲーム『The Last of Us Part II』と『Tell Me Why』の両方にトランスジェンダのキャラクタが登場し、近年では非バイナリィのキャラクタも時々ゲームに登場していることは注目に値します。当然、これは私たちが期待するトレンドです。はるかに一般的であり、これは私たちが今後数年間注目し続けるものです」
最後に、Feminist Frequency は、これらのゲームを提示する画面に表示される女性の数を調べました。企業がリーダーシップを多様化し、創造的な意思決定の立場にある人々の範囲が広がるにつれて、表現の本当の変化がもたらされることに注目しました。
今年は、オンカメラプレゼンタの23%のみが女性で、昨年の21%からわずかに増加しました。各プレゼンテーションで男性の数が女性の数を少なくとも2対1と上回っており、この比率がさらに悪い場合(年)もありました。
「特にスタジオのクリエイティブディレクタやメジャータイトルのプロジェクトリーダとして、これらのビデオに登場する女性が増えると、変化が起こっていることがわかります」
昨年、私たちはこの進行中の分析について Sarkeesian 氏と話しました。彼女は、ゲーム内の女性のレベルが低いことについて「弁解の余地はない」と述べました。
補足 カタカナ表記
補足 Feminist Frequency
2009年に立ち上げられた Web サイト。フェミニストによるメデア評価が目的です。
サイトの創設者(責任者)は、Anita Sarkeessian 氏。
frequency は、頻度、発生件数を意味します。
過去記事参照
2020年3月の記事です。
[販売データ]PS4 と Xbox One の販売台数(最新)
補足 非バイナリィ(nonbinary)
二値的でない、ということです。いい意味でのどっちつかず。
「架空の生命(生物)」は含まれないようです。『Fall Guys』のような。『Sackboy』は、どう判断されるのでしょう。boy とはありますが、厳密に性別とは言いがたいかも。
補足 オンカメラプレゼンタ
「制作スタッフ」を代表してメディアからの取材に応じる人、という解釈でよろしいかと。
2020年は特に、トレーラ、ゲームプレイ以外の情報提供も動画の形式が顕著に増えています。文字通り、「顔の見える人」です。
この場合、広報担当者は対象外のはずです。
補足 男性の数が女性の数を少なくとも2対1と上回っており
わざわざ、補足するほどのことでもないのですが、ソースでは
Women were outnumbered by men by at least two to one . . .
となっています。
outnumber(上回る、より多い)という単語のの例文としては、
Men outnumber women (by) two to one.
というのは典型です。
おそらく、この手の研究は映画・テレビ業界でもなされているかと。