[解説]標準時間と夏時間
管理人(Yayoi KISARAGI) 2019.8.13
さて、翻訳の記事の中には CEST、CETという言葉が出てきます。 ちょっとだけ「時間」のお話をしておきましょう。
協定世界時 (UTC)
協定世界時とは、国際原子時 (TAI) に由来する時刻のことです。
なお、原子時とは、フランス語で、Temps Atomique International のことです。原子時計によって定義される高精度で安定した時刻系です。この地球上で基準となる時刻、と言って差し支えないでしょう。
さて、「協定世界時」という言葉を各言語で表すと、
- 英語:Coordinated Universal Time
- フランス語:temps universel coordonné
- イタリア語:tempo coordinato universale
となります。
頭文字の表記(略称)が言語ごとに異なるのは明らかですね。このため、国際電気通信連合 (ITU) は協定世界時の略称を UTC と定めています。
UTC よりも n時間進んだ時刻を UTC+n と表記します。
また、UTC よりも n時間遅らせた時刻を UTC-n と表記します。
日本標準時間(JST)
日本標準時とは、Japan Standard Time のことで、略称は JST です。
協定世界時(UTC)を9時間(東経135度分の時差)進めた時刻(すなわち UTC+9)をもって、日本における標準時としたものです。一般的には日本時間と呼ばれます。
また日本においては、UTC は、国立研究開発法人情報通信研究機構の原子時計で生成・供給されます。
英国夏時間(BST)
英国夏時間は、英国の標準時間を1時間進めた時刻(すなわち UTC+1)です。
なお、英国の標準時間とは、グリニッジ平均時間(GMT: Greenwich Mean Time)です。これは、協定世界時(世界共通の標準時間)に一致しています。
英国で夏時間が実施される期間は、3月最終日曜日1時(UTC)から10月最終日曜日1時(UTC)までです。
2020年は
3月29日(日)01:00 – 10月25日(日)01:00
ので実施されます。
中央ヨーロッパ時間 (CET)
中央ヨーロッパ時間とは、Central European Time のことで、略称は CET です。
協定世界時 (UTC) を1時間進ませた標準時であります (UTC+1)。中央ヨーロッパ夏時間が適用されていない期間がこれにあたります。
また、日本標準時との時差はマイナス8時間です。
ヨーロッパとはありますが、アイルランド、UK、ポルトガルは除きます。
中央ヨーロッパ夏時間 (CEST)
中央ヨーロッパ夏時間とは、Central European Summer Time のことで、略称は CEST です。
いわゆる、サマータイム。中央ヨーロッパ時間より1時間進めた時刻(UTC+2)です。
3月の最終日曜日午前2時(=夏時間午前3時、つまりここで1時間進められます)から10月の最終日曜日夏時間午前3時(=標準時午前2時、つまりここで1時間戻されます)までの期間、適用されます。
2019年においては、開始 3月31日(日) 01:00 (UTC) – 10月27日(日) 01:00 (UTC) 終了となります。Gamescomが開催されるドイツ(ケルン)では現在 CEST が適用されています。
また、日本標準時との時差はマイナス7時間です。
太平洋標準時間 (PST)
太平洋標準時とは、Pacific Standard Time のことで、 略称は PST です。
西海岸標準時ともいい、協定世界時(UTC)を8時間遅らせた時刻(UTC-8)です。 主にアメリカ西海岸の地域の標準時で、「-0800(PST)」のように表示します。
なお、単純にPTと表記する場合もあります。
太平洋標準時間 (PDT)
太平洋夏時間とは、Pacific Daylight Time のことで、略称は PDT です。
太平洋標準時の夏時間のことです。 協定世界時(UTC)を7時間遅らせた標準時で、太平洋標準時より1時間進めた時間となります。
2006年までは、4月の第1日曜日午前2時から10月の最終日曜日午前2時までの期間の適用ででした。
2007年以降は、3月の第2日曜日午前2時(=夏時間午前3時、つまりここで1時間進められます)から11月の第1日曜日午前2時(=標準時午前1時、つまりここで1時間戻されます)までの期間の適用に変更されました。
「そもそも時間とは何か」というお話は、長い時間がかかりそうなので割愛です。